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アメリカ人から見た日本企業

 昨日のお話。通学途中でゴルフのベストスコアが70台という、つわものアメリカ人に出会い、一緒に学校まで。そこで出た話が日本の製造業の停滞について、ってもの。ちょうどおとといのEconomistにそんなような記事が出ていたらしく、ちょうど僕に聞きたかった、とのこと。ううむ...できれば違う日本人に出会っていただきたかったですが、仕方ない。鋭い質問を覚悟して話しに望むことに。

 彼の興味はかつてInnovationの代名詞であったSONYの地位低下、Panasonic、富士通といったかつての電機業界の主たちが何故こうも後手後手に回ってしまってるんだろうか、ってところ。彼は日本企業のイメージとして強いセクショナリズムってものをイメージしていて、これが高いテクノロジーを活かしきれていない根源にある理由なんじゃないか、って話でした。サムスンなんかは日本の電機企業の二の轍を踏まないよう、もっとクロス・セクションのチーム編成で開発にあたってるぞ、ってところまでご指摘。

 サムスンがInnovativeかどうか、とか、今後日本企業と同じ道を歩まないかどうか、ってのは置いておいて(←僕はちょっと懐疑的なので)、日本企業の根源にある問題についてはぐうの音も出ないご指摘。僕はメーカー出身じゃないですが、でも日本企業のセクショナリズムってのは『なんでこうなるかなぁ』って思うところが多いですね。これはどの部の仕事だとかって所謂な縦割りの仕事分担は当たり前で、隣の部の部長に印鑑を貰いにいくのにまずは課長に話をして、部長にようやく辿りつく、それに要する時間が2時間とか平気である訳で、この手の立ち回りを覚えないと生きていけません。そして、別にスキルがついた訳でもないのに、この辺の立ち回りができるようになると、なぜか『できる社員』扱い...。そりゃ煩わしい社内外交を避けて自分の目の前の仕事に集中したくなる気持ちも分かります。だから社員の視野も狭くなるわけですね。

 あんまり短絡的な答を出すつもりもないんですが、終身雇用ってこれと関係してるんですかね??と思うのです。長期に亘る雇用が前提で、ピラミッド型のヒエラルキーが存在してて、だからこそ部長さんやら役員さんやらが『自分のお城です』って竹垣みたいなのを作りたがるのかなって。自分の居心地の良さを追求することが組織全体にネガティブなExternalityを及ぼしてるなんてことはそんなに気にせずに。だとすると、物理的にパーテーションの無い職場環境にするとか、こういった小手先の手法って殆ど意味が無いなぁとも思うのです。こりゃ根深いなぁと思うとともに、風通しの良さのために必要なもの、またあっちゃいけないものって何なんだろうって思いをはせてたりします。
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by Jinan-bou | 2012-03-03 13:09 | Kelloggライフ全般